ホームページはつくってからの運用が必要なので、社内に技術者がいない場合は月額(年額)の管理費を制作会社に払って運用している場合がほとんどかと思います。
・管理費用が高すぎる
・対応が遅い・悪い
・運営のサポートをしてもらえない
これらの理由から、契約している制作会社との関係が悪くなり、「取引先を変更したいな」と思った場合、どうすればいいのか?知識がなければよくわかりませんよね。
確認不足が原因で、トラブルに発展してしまうことは極力避けたいものです。
本記事では
・サイト保守・管理費の相場
・移管する際にかかる費用
と言った内容について、ホームページの管理先を変更したい人に向けて詳しく解説していきます。
制作会社を変更する際に確認すること
ホームページ制作会社との契約内容
まずホームページの管理を他社に変更できないという契約内容になっていないかどうか確認しましょう。
もしこのような内容になっている場合、制作会社を変更することはできません。
制作会社との保守期間は、一般的に長期で契約(6ヶ月契約や12ヶ月契約)する場合が多く、解約条件に基づいて契約を解約していく必要があります。
ほとんどの場合、一カ月前までに解約を申し出る必要があったり、なんらかの制限がある可能性が高いため注意が必要です。
ホームページのシステム
制作会社を変更する前には、ホームページのシステムについての確認も必要です。
制作会社がオリジナルのシステムで作成したホームページについては、システムによってホームページを引き継ぎできないケースがあります。
一見同じように見えるホームページでも、システムによって引き継ぎできないこと可能性がある点は頭に入れておきましょう。
著作権について
ホームページに関わらず制作物には「著作権」というのが存在します。
ホームページの場合は、例えば一つのページに多数の写真やテキストや加工物が存在します。
これらの一つ一つには著作権が存在していますので、ホームページの管理を別の会社にしようとした時に「制作費払ってるんだから、ホームページのデザインデータ(PhotoshopやIllustratorとか)とか写真の現物データ全部ちょうだい」と要求して、「わかりました」と簡単に行かないケースが多々あるので注意しましょう。
「ホームページが納品された=制作に使ったデータ全てをもらえる」という事ではないことを理解した上で、契約内容を確認し、どの範囲までを新しいホームページに使えるのかを把握しましょう。
ホームページのデータ(ソースコード)
ホームページは、HTML、CSS,JavaScript、画像データなどのファイル群で構成されています。
簡易的な説明にはなりますが、このファイル群を、Webサーバに設置することでサイトを表示する事ができるようになります。
現行サイトを今とは別の制作会社へ管理を委託する際には、必ず必要となります。
わからない場合は、制作会社に「ホームページに関連するソースコードを一式ください。」と依頼すれば大丈夫です。
また、WordPressなどのCMS(後述)では、プラグインを自作している場合がありますので、自作しているプラグインの有無を確認しましょう。
サーバーの情報
次に、サーバーの情報です。
サーバーの情報でも、下記2つは必ず必要な情報です。
・サーバーへの接続情報(FTPやSSHなどの接続情報)
制作会社が、保守作業を引き継ぐ上で必ず必要な情報になるので、必ず聞いておきましょう。
もしサーバーの契約を現在の制作会社に代行してもらっている場合は、契約会社の名義変更や支払い方法の変更手続きが発生する可能性がありますので、その点も留意しておく必要があります。
サーバーの情報は契約書類に記載されている場合もあるので、まずは書類を確認してみてください。
それでもわからない場合は、ホームページ制作会社やレンタルサーバー会社に問い合わせが必要です。
「サーバーへの接続情報(FTPやSSHなどの接続情報)」は、制作会社のエンジニアが開発のためにサーバーへ接続するための情報です。
ドメインの情報
現在のドメインが、どのドメイン管理会社のサービスで取得されているか確認しましょう。
有名どころだと「お名前.com」や「ムームードメイン」などになります。
ドメインの管理画面へのアクセスにユーザーIDとパスワード情報が必要となります。
ドメインの解約や契約情報の確認、新規にドメインを取得する際に必要な情報ですので、忘れずに確認するようにしましょう。
こちらもサーバーの契約と同様、制作会社に代行してもらっている場合は、登録者名義の変更やドメインの移管作業が必要となるため注意が必要です。
CMSの管理画面へのログイン情報
制作会社を変更する際には、CMS管理画面の情報も求められます。
ホームページ内のコンテンツを管理するためのシステムのことを意味しており、代表的なものとしてはWordPress・EC-CUBE・Makeshop等がCMSにあたります。
WordPressで制作したホームページは、サーバーからすべてのデータを取り出すことはできません。
ワードプレスには「権限」といって、管理画面にログインする人に対して、どのような作業まで出来るようにするかを設定する事が出来ます。
管理画面にログイン出来る人には、以下の5種類の「権限」の内の1つが与えられます。
管理者:WordPress の全ての操作が可能。
編集者:コメントやリンクの管理などコンテンツに関する全ての操作が可能。
投稿者:記事の投稿や編集、公開が可能。
寄稿者:記事の下書きと編集のみ可能。
購読者:閲覧のみ可能。
サイトのバックアップを取るための「プラグイン」という機能を設定できる権限まで与えられているのは「管理者」のみです。
ホームページ内のコンテンツを変更したり追加したりするためには、CMSの管理画面にアクセスできるアカウントのIDやパスワードの情報が必要となるのです。
変更の際に注意すること
ホームページを移管できないケースがあること
制作会社を変更できるケースは多いものの、前述したように契約内容によっては変更できないこともあります。
ホームページの移管を検討する場合は、まず現在の契約内容をしっかりと確認することが大切です。
ホームページの移管には費用がかかること
ホームページの移管に費用がかかる可能性があります。
とくに「現在の管理費用が高いので、制作会社を変更したい」と思っている場合は、このことを頭に入れておかないと、「制作会社を変更したのに、大きな経費削減につながらなかった……」という結果になってしまうかもしれません。
ホームページ制作会社にもよりますが、「他の人が作ったホームページを管理する」ことを嫌がるケースも多いです。
その理由としては、制作会社ごとにコーディングを行う際の細かいルールが存在するからです。
そのため、別の制作会社で制作した異なるコーディングルールの仕様を把握する必要があり、単純に制作会社の乗り換えを行うだけでもプラスの費用を請求される可能性は高いです。
制作会社を選ぶ際の注意点
最近では、ホームページ制作会社選びをサポートするような「比較検討サイト」が人気で、実際に利用された方も多いと思います。
実際には、これらの比較サイトは、「制作会社を紹介することで紹介報酬をもらう」という仲介ビジネスのため、公平な視点で制作会社を評価していない場合がほとんどです。
利益を上げるため、紹介料や発生報酬の高い商品をあたかも良い商品として紹介しているサイトは珍しくありません。
全てのサイトがそうだと言い切れるわけではありませんが、広告費目的で運営しているサイトも多く、そのようなホームページでは、公平な紹介や比較がされていません。
あくまで、紹介手数料が入りやすいホームページ会社からランキング付けしているにすぎないのです。
あたかも正しいと思わせるような情報に惑わされず、あなたの目と耳でその制作会社が本当に信用できて、ほかのホームページ会社よりも良いという確信を得てからホームページ管理会社の変更を行うようにしましょう。
移管を依頼する際には費用がかかる可能性がある
現在の制作会社でかかっている保守・運用費と、制作会社移行後の保守・運用費+初期費用で料金を比較することが必要です。
かなりの長期間を見据えて乗り換えを行わないと費用を回収できる可能性は低いでしょう。
管理費用の一般的な相場
ホームページの管理費は、月額1万〜5万円程度が相場です。ボリュームゾーンでいうと、月額1万円~2万円がメインです。
自社で更新・管理を行う場合
サーバ費用 | 数百円~3000円程度 |
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ドメイン費用 | 数百円~500円程度 |
SSL費用 | 無料~5000円程度 |
最低限の更新・管理を委託する場合
サーバ費用 | 数百円~3000円 |
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ドメイン費用 | 数百円~500円 |
SSL費用 | 無料~5000円 |
外注の管理費 | 5000円~20000円 |
ある程度しっかり更新・管理を委託する場合
サーバ費用 | 数百円~3000円 |
---|---|
ドメイン費用 | 数百円~500円 |
SSL費用 | 無料~5000円 |
外注の管理費 | 20000円~50000円 |
集客に力を入れて外部委託する場合
サーバ費用 | 数百円~3000円 |
---|---|
ドメイン費用 | 数百円~500円 |
SSL費用 | 無料~5000円 |
外注の管理費 | 50000円以上 |
自社で管理するには
ホームページの管理で不信感を抱いたりトラブルを回避したい場合は、自社で管理する方法もあります。
自社管理と他社管理のメリットやデメリットについてお伝えします。
ホームページを自社で管理するメリット・デメリット
ホームページを自社で管理することの大きなメリットは、コストの削減です。
コストを抑えたいと考えている場合は、自社で管理するのもひとつの方法です。
その一方でホームページの自社管理では、すべての管理を自社で行うことが求められます。
サーバーやドメインの契約・管理のほか、ホームページの更新、データのバックアップ、システムのバージョンアップなども必要です。
不具合があった場合は自社での対応が求められるため、知識の不十分な保守担当者の場合、負担が大きくなります。
とくにシステムのバージョンアップを怠ると、ホームページに不具合が生じるなどユーザーの利便性にも問題が出てしまいます。
また、データをバックアップしていないと、ホームページの全データが消えるといったリスクもゼロではありません。
ホームページの管理を他社に依頼するメリット・デメリット
ホームページの管理を他社に任せることの大きなメリットは、自社でホームページに関わるリソースを作らなくてもよいことでしょう。
専門的知識をもつ業者に依頼することで、新たな提案をしてもらえることも考えられます。
また、不具合などの対処にも、専門的な知識を持つ方々が多いため迅速な対応が可能です。
その一方で、信頼できる業者かどうかを判断するのが難しく見極めが必要です。
実際、ホームページの制作会社を変更したい理由として、「依頼しても対応してもらえない」「対応が遅い」といった声は多いようです。
契約前には「この企業にホームページを任せよう!」と前向きだったにもかかわらず、時間の経過とともに不満を抱えることもあるのです。
費用を抑えるためにフリーランスに保守・管理を依頼することも可能
フリーランスにホームページの保守・管理を依頼する場合、基本的には価格を安く抑えられることがメリットです。
Web制作会社に依頼をすると余分な人件費がかかってしまいます。
制作会社の場合はディレクターやプログラマー、コーダーやデザイナーなど、さまざまな職種が関わっているため、企業規模の大きさに比例して保守・管理費用も高額になるのです。
現在のホームページを管理している制作会社を変更したい まとめ
ホームページの管理に不満がある場合、制作会社の変更を考えることもあるでしょう。しかしお伝えしたように、制作会社を変更するにはさまざまな確認や手続きが必要です。
一方的に契約解消を考えるのではなく、現在のホームページ制作会社と話し合い、お互いに歩み寄ることも大切でしょう。
「ソースコードやドメイン情報はもらったけど、契約の制約上作業できない!」「サイトで利用している画像を勝手に使って権利元から注意された!」のようなトラブルを起こさないためにも、この記事で説明させていただいた注意点をしっかりと覚えておきましょう。